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六角牛山の北側を越え、遠野と釜石とを結んだ峠。柳田國男の『遠野物語拾遺』にあるこの峠の伝承を引用。
「昔青笹村に一人の少年があって継子であった。馬放しにその子をやって、四方から火をつけて焼き殺してしまった。その子は常々笛を愛していたが、この火の中で笛を吹きつつ死んだ処が、今の笛吹峠であるという。」
この峠に自動車道路が建設されたのは大正11年。当時の上閉伊郡郡長・佐藤二郎が議会に対して事業案を提出し、議会で否決されたものの、知事の認可で執行する「原案執行」を発動。昭和25年に国鉄釜石線が全通するまでの二十数年間、交通の中心となった。峠には「萬里飛躍」と刻まれた笛吹峠県道記念碑が建つ。(「日本百名峠」)