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地名研究家・徳弘勝氏の説では「坂道に慣れた人は足をカニのように曲げてするすると歩く。急な坂道を歩くのにはこれがいちばんよいと教わった。カニ越えはこうしたカニ歩きを強いられる急坂だからこの名前がついたのではないか」としている(出典より)。峠東の梅ノ木では「ガニ越え」というそうだ。一方、出典の著者は「むかし、たくさんのカニが列をなして坂を登り始め、峠を越えて行った。その直後に大地震が起き、大津波が浦々を襲った」という昔語りのあることも記している。また、峠東の「夜泣き岩」には山中での出産とオオカミによって喰い殺された話が伝わること、さらにカニを安産の守り神とするアイヌの民話にも触れている。(以上「土佐の峠風土記」)